豪快な石組が衝撃的なインパクト。阿波国分寺庭園

仏教の庭

仏教に篤く帰依した聖武天皇は、741年に国家の安穏や五穀豊穣、政教一致、地方文化の向上などを祈って、勅命により全国68ヶ所に国分寺を創建しました。奈良・東大寺はその総国分寺ともいわれます。四国は各県に国分寺があり、阿波国分寺は徳島県徳島市に位置しています。

◆庭園レポート
庭園は室町時代の作庭とされていますが江戸時代後期に大改修されたそうです。重森三玲が感銘をうけたという豪快な石組み。重森三玲が阿波の青石や石を立てることに感化されたのはこの庭園の影響だそう。それも納得するほど、この豪快さは衝撃的です。

本来は枯池ですが、直前まで雨が降っていたので水が溜まっています。しかしすっごい石組みですね。阿波青石がふんだんに使われています。


訪問時は本堂の修復工事中で全貌が見れていません。ので絶対に再訪したいです…!

こちらでも紹介している「玉潤流」の技法がつかわれているお庭でもあります。青々とした芝と巨石のコントラストが大変珍しいお庭。とにかく力強く、安土桃山期の作庭の影響が色濃くでているお庭です。


◆拝観
午前7時〜午後5時

◆庭園見学料
300円

◆所要時間
20分ほど

◆アクセス
徳島県徳島市国府町矢野718-1
※公共交通機関では行きにくいですのでレンタサイクルやタクシーの利用を推奨します。


◆歴史コラム
重森三玲もその魅力に虜になった「阿波の青石」ですが、緑泥片岩と呼ばれる変成した岩のことです。徳島の有名な山、眉山は全山が青石で構成されているとも言われています。四国全体では剣山系の山々に青石が多く産出するそう。吉野川の流域では川底がすべて青石の場所のあるらしく! また、へきかい性(割れやすい性質)に優れた青石は古代の人にとっても加工しやすい石質だったようで阿波の古墳では青石がつかわれていることが多いそうです。

ちなみに彫刻家でもあり作庭家でもあったイサム・ノグチが手掛けたパリのユネスコ本部の庭にも阿波青石が使用されています。青石を使うように助言したのも、イサム・ノグチと親交のあった重森三玲なんだとか。阿波青石を探すきっかけで四国に来たイサム・ノグチ。その際に立ち寄ったのが香川の牟礼だったそう。香川県の牟礼の地で、石屋であり彫刻家であった和泉正敏とともに実験的な石の庭園を作成していきます(香川県高松市牟礼にあるイサム・ノグチ庭園美術館)。牟礼は御影石の最高級品である庵治石の産地でもあります。

↓ユネスコ本部のお庭

画像引用元 海外の日本庭園

そんな阿波青石を庭に取り入れようと思ったらいったい幾らかかるのか…?
もちろん価格はピンキリなのですが名庭に使用されているような青石の大きさや形の良さですと数百万はかかりそうです。一生ものどころか自分が死んだあとも未来永劫、不変的な魅力を放ち続けるものですが…さすがに、おいそれと買えるものではないですね

ikeda

ikeda

日本庭園(主に古庭園)と歴史が好きな管理人が日本庭園の紹介と歴史コラムをと書いています。京都芸術大学大学院環境デザイン領域日本庭園分野を修了。書いた論文を当サイト内でも公開しています。

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