清澄庭園は三菱財閥創業者・岩崎弥太郎の命によって明治時代に作庭された大規模な池泉回遊式庭園です。来賓や社員をもてなす保養施設の目的で建設されたそうです。
◆庭園レポート
「石が素晴らしい」との前評判通り、そこかしこに様々な地域の巨石や銘石が使われていて圧巻です。みどころのうちの一つ、大磯渡り。迫力満点です。左手に見える荒々しい磯場を表現した荒磯にも注目です。磯渡の途中で見える大灯篭。池が豊かな池泉庭園の風情がたっぷり。シャキっとした大橋も凛とした美しさを醸していてうっとりする直線美です。
富士山を模した築山もみどころ。護岸近くに植栽された松が松林を想起させ、いい味を出しています。目に映る景色は緑色だらけ。とても東京の都心にいるとは思えません。
清澄庭園で一番大好きなポイントの枯滝石組み。すんばらしい。そそりたつ紀州の青石のかっこよさ!そして水の流れを表現した丸石も美しいです。
色々な鳥を見ることもできます。アオサギがこんな近くに!
◆見学
午前9時~午後5時(入園は午後4時30分まで)
年末年始は休園
◆見学料
120円
◆所要時間
1時間ほど
◆アクセス
東京都江東区清澄二・三丁目
都営大江戸線・東京メトロ半蔵門線「清澄白河」(E14・Z11)駅下車 徒歩3分
◆歴史コラム
清澄庭園でもたくさんの庭石が登場しましたが代表的な庭石の種類について。
庭石で有名なのは「御影石」という名称で有名な花崗岩の石。強く耐久性に優れているため、作庭にも重宝されています。御影石の中でも稲田御影や甲州御影、本御影など産地によって様々な種類や特性があります。御影石の産地は全国にありますが国内最高の知名度&高級品と言われているのは香川県の
庭園を鑑賞していると目にすることが多い「阿波青石」や「紀州青石」。結晶片岩の石です。結晶片岩とは強い片状構造を持つ変成岩の総称で、変形によって、鉱物粒子が面的に成長・再結晶することによって生じます。片理という縞模様が見られその縞目に沿ってはげるように割れる傾向があります。
青石と呼ばれるのは緑色片岩のことです。青石といえば漫画「へうげもの」で主人公の古田織部が青石をみて独特の擬音で表現していましたね(うろ覚えですがミキュンだかそんな感じの擬音で…。)青石が多用されるようになったのは安土桃山以降の気がするのですが、調べてもあまりでてきませんでした。財力を示すために珍しいもの(南方の植物の蘇鉄など)を取り入れるのは大名家の習わしだったので青石の多用もその流れを汲んでのことでしょうか。ちなみに紀州ではあまり価値のない石の扱いだったそうなので、身近にないもの=希少価値の高いものとしての扱いだったようです。
青石といえば作庭庭の重森三玲も重宝していたことで有名です。▲重森三玲庭園美術館の青石。
鞍馬石(くらまいし)は京都の銘石として全国的な知名度を誇る庭石。閃緑岩です。硬質で濃い茶褐色の落ち着いたサビ色であることから茶道のわびさびの世界と親和性が高く、茶庭の庭石、飛石、沓脱石に使用されることが多いです。現在は採石が禁止されているそうで希少価値が高い石になっています。
▲飛石が鞍馬石。鞍馬石は濡れるとすごく美しいですよね