栄華を極めた朝倉氏の遺跡内に残る4つの室町様式の庭園

御所・城・大名の庭

一乗谷朝倉氏遺跡は戦国大名朝倉氏が築いた城下町全体が、良好に遺存している国の特別史跡として指定保存された全国でもまれな戦国城下町遺跡です。遺跡内には城跡や屋敷跡、曲輪郡などが残っています。それと室町時代の様式を持つ4つの庭園があります。

◆庭園レポート
茶の湯や庭園文化に関心が深かったという朝倉氏は各館に庭園を造営したそうです。館は消え失せてしまっていますが、庭園は石組が残っていたそうで復元され、整備されています。4つあるのですが、やはり一番心を奪われるのは諏訪館跡庭園。上下二段の池泉庭園で、豪壮というかゴージャスな感じでした
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パンフレットをよく読むと朝倉義景が最愛の妻のためにつくったと伝えられていて「道理で~!」と思いました。というのも、訪れたのは3月の雨降る寒い日だったんです。庭園の中心に植わっている紅葉はすっかり落葉してるし地面は雨で泥土になってしまっていて、空は冬の雨の空。ほぼ、色のない世界です。

なのに諏訪館跡庭園を見た瞬間、ぱぁ~っとした華やかさというかキラッっとしたきらめきのような明るさがありまして何度も「輝いとる…なんでや…」と雨の中、つぶやいておりました

朝倉氏は織田信長に滅ぼされるまで、5代100年続いた名門。まさに「栄華を極めた」という表現がぴったり。そんな朝倉氏の栄華を今も伝える遺構と庭園。写真でみると迫力がわからないですが実物はものすごい奥行き感と迫力があって一見の価値ありでした。残りの3つの庭園もゆっくり見たかったのですがひどい雨と寒さで駆け足で見て遺跡を後にしました。ぜひ、また季節を改めて再訪問したいです。

余談ですが、駐車場横のお土産売り場に売っている鯖寿司がめちゃくちゃおいしかったです。


◆入場
年末年始は休み 9:00~17:00

◆入場料
210円

◆所要時間
30分ほど

◆アクセス
福井市城戸ノ内町 地図
JR福井駅から京福バス浄教寺行き、「武家屋敷前」下車すぐ。


◆歴史のこばなし
朝倉氏は前述の通り、織田信長によって滅亡に追いやられます。朝倉氏滅亡までには、朝倉・浅井連合軍VS織田・徳川同盟軍のかの有名は「姉川の戦い」があったり(朝倉氏側が敗戦)、信長包囲網作戦があったりしたのですが結局、信長に寝返った朝倉景鏡の裏切りによって、朝倉義景は死んでしまいそれとともに名門・朝倉家も滅亡します。

早くから戦国大名として名を馳せ名門と謳われた朝倉家を滅亡に導いたイメージにより、朝倉義景は無能な当主であったように描かれる場合が多いです。ですが、朝倉家は本家と分家の権力の差があまりなく分家も本家とおなじくらいの発言権や権力があり結束力が乏しかったことや、外征の際、当主は出陣しなかった慣例があり朝倉義景の総大将としての経歴があまりに薄かったことなど、様々な要因が重なって滅亡したんだと思います

総大将の器じゃないというよりもそもそも家中の中で総大将として望まれていたのか、ということですよね。降って湧いた現実というか…。ちなみにこの朝倉義景、浅井久政・長政父子とともに信長の命により「どくろ杯」にされ、酒宴の席に飾られたのは有名な話です。
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ikeda

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日本庭園(主に古庭園)と歴史が好きな管理人が日本庭園の紹介と歴史コラムをと書いています。京都芸術大学大学院環境デザイン領域日本庭園分野を修了。書いた論文を当サイト内でも公開しています。

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