達磨寺としても有名な池泉庭園と石庭が美しい龍潭寺

禅の庭

龍潭寺(りょうたんじ)は滋賀県彦根市にある臨済宗妙心寺派の寺院です。もともとは奈良の行基によって静岡県に開基され井伊家の菩提寺でしたが、井伊直正が佐和山城主になったため、佐和山の山麓へ移築されました。

庭園レポート

龍潭寺へは彦根駅からレンタサイクルで約20~30分ほど。彦根の主要観光場所からはやや離れているため、人もまばらです。のどかな景色の中を自転車でめぐるのは気持ちいいのでおすすめです!佐和山城に登るのもおすすめ!小さい山なので30分ほどあれば登れます。石田三成に過ぎたるものが二つあり…のあの佐和山城があった場所です。

龍潭寺は「造園専門学校」のはじまりといわれています。「園頭科(えんずか)」と呼ばれる科があり禅僧たちが実習として庭を作っていたそうです。そんな龍潭寺では現在二つのお庭が公開されています。書院東庭は、山を背景に大きな池が横たわる池泉鑑賞式庭園となっています。写真ではわかりにくいのですが急斜面に据えられた滝石組が迫力あり!山に抱かれて、山と混然一体になっている雄大な印象も受けました。

もう一つのお庭「ふだらくの庭」は打って変わってというか、境界をぱっきりと区切った中に白砂に48個の石を配した石庭となっています。個人的な好みですが、私は非常にこの「ふだらくの庭」が好みです…!白砂と築山のコントラスト、きゅっと凝縮された意匠性…!好み!!中央の補陀洛山の観音石はすっと立てた石ですが、全体的に石が小さめです。そのおかげでこんなにたくさんの石が配置してあっても抜け感があり、いい感じに凝縮されています。

そして庭と対峙するようにこの真っ赤なだるまの列!圧巻でした。こちらの法輪寺もだるま寺として有名ですが、龍潭寺のだるまたちはぴしーーと整列していてこんな光景みたことありません。

追記:みてください、このかわいいミニだるまさんを!願いに合わせて色が違うんですよ。私は修士号をとった時におめめを入れました♪龍潭寺でぜひお気に入りのだるまを選んでみてください。


◆拝観
拝観時間:9:00から16:00

◆拝観料
大人400円

◆拝観所要時間
30分ほど

◆アクセス
彦根市古沢町1104


歴史コラム

龍潭寺が「園頭科」と呼ばれる造園専門学校のはじまりだったことは述べた通りですが、寺院は多くの学僧を輩出しました。「学僧」は字のごとく僧侶になるために学ぶ人のことを指します。学僧と呼ばれる人のほとんどが僧侶身分の「学侶(がくりょ)」と呼ばれる身分の人々だったそうです。学侶は仏教に関連した学問や研究、祈祷に専念していたそうです。その他の身分としては「同衆」と呼ばれる学問の他に寺院の運営的なことをする身分、「行人」と呼ばれる寺院の管理や花・灯りの準備、炊事・給仕などの実務的な業務にあたる身分がいました。
中世頃には「学侶」は出自の高い武家や公家のおぼっちゃん僧侶が多くなり「阿闍梨(あじゃり)」の高品位になることが多く、出自の低い人が多くあまり実務的な業務ばかりさせられていた同衆や行人は不満を抱き、しばしば寺院内での内紛となりました。教育格差による出世の明暗って感じですね…。

「阿闍梨」が高い地位の僧侶であることはご存知の通りかと思いますが、どこの宗派の僧侶かご存知でしょうか?密教で使われている僧位で、宗派でいうと「真言宗」と「天台宗」などで使われています。ちなみに「阿闍梨」には「教授阿闍梨」「伝法阿闍梨」「大阿闍梨」など数種類あります。特に厳しい修行(千日回峰行など)を終えた阿闍梨は「大阿闍梨」。ちなみに延暦寺の記録によると1300年の歴史の中で千日回峰行を達成したのは46人だそうです。

めちゃくちゃに過酷な千日回峰行…

ちなみに「お坊さん」は宗派を問わず「僧侶」を指す言葉で、「住職」も宗派を問わず「そのお寺のトップ」を言葉です。ちょっとややこしいのは宗派によって住職を指す言葉が違うこと。天台宗・真言宗・浄土宗・禅宗では「和尚」・「和尚さん」。浄土真宗ではでは「院家」・「院主」これが転じて「ごいんさん」と呼ぶことも。確かにうちの祖母や父は住職のことを「ごいんさん」と呼んでいました。日蓮宗では日蓮上人にちなんで住職のことを「上人さん」と呼ぶそうです。自分の宗派に合わせた呼び方は覚えておいてもいいかもしれないですね。

ikeda

ikeda

日本庭園(主に古庭園)と歴史が好きな管理人が日本庭園の紹介と歴史コラムをと書いています。京都芸術大学大学院環境デザイン領域日本庭園分野を修了。書いた論文を当サイト内でも公開しています。

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