川を表現した庭園&2つの要素を併せ持つ庭園が楽しめる相国寺

禅の庭

臨済宗相国寺派の大本山である相国寺は、京都五山第二位に列せられる名刹です(⇒五山についてはこちら)。室町幕府三代将軍の足利義満により創建されました。幾度も焼失と復興の歴史を繰り返しましたが、現存する法堂は日本最古の法堂建築として1605年に再建された物だそうです。夢窓疎石を開山とし、創建当時は室町一条あたりに総門があったといわれています。

◆庭園レポート
方丈庭園は禅の無の境地を表した白砂のみの庭園です。すっきりとした美しさ。


方丈の裏庭は川を表したものだそうです。高低差を活かしたダイナミックなつくり。渓谷みたいでかなりかっこよかったです。

端から全体を眺めるもよし、真ん中でダイナミックさを堪能するのもよし。
枯山水なので水音はないのですが、どこか「音」を感じるお庭でした。もちろん物理的な音ではありません。

庭園自体が生きもののような躍動感ある感じだからでしょうか。息遣いのようなものを感じたお庭でした。写真ではなかなか伝わりにくいのですが、奥行き感に富んだ庭で広々伸び伸びした心持ちにもなれる、とても良い庭園です。

特別公開中の開山堂の庭園は白砂の枯山水と苔地築山庭園、2つの要素が一体化したつくり!奥と手前で風情が違って、二度美味しいというか、目線をやる先で印象が変わるお庭。

こちらはさきほどのダイナミックさなどはありませんが、たいらで四海波静かな穏やかな安らぎのお庭です。

相国寺の承天閣美術館では「禅林美術展」禅画や墨蹟、茶道具の展示もしてありました。「ああ!あれもこれもあるっ」と興奮がやまないラインナップでした。土曜日でしたが、人も少なく名物や墨跡をじっくりたんまり楽しめました。なんとも魅力的な美術館。伊藤若冲の襖絵も展示されていました。


承天閣美術館へ行く途中の中庭にあるモルタルでできた枯山水。現代版枯山水という感じで素敵です。

様相の異なる庭園が楽しめ、さらに禅画や墨蹟・名物の数々まで堪能できる相国寺、ぜひ行ってみてください。


◆拝観
10:00~16:00
春の特別拝観:3月24日~6月4日(法堂・方丈・浴室)
秋の特別拝観:9月25日~12月15日(法堂・方丈・開山堂)

◆拝観料
800円(一般)

◆所要時間
1時間程

◆アクセス
京都市上京区今出川通烏丸東入相国寺門前町701 ⇒地図
地下鉄今出川駅下車 徒歩約8分


◆歴史のこばなし
相国寺は足利義満が建立した、と冒頭に書きましたが足利義満といえば室町幕府・足利将軍の三代目の将軍です。足利尊氏の孫にあたります。栄華を極めた時代の将軍の印象が強いですね。

足利義満といえば知らぬ人はいないであろう「金閣寺(正式名称は鹿苑寺)」を建立したことで有名ですが、金閣寺はもともとはお寺ではなく将軍を引退した後の、足利義満の別荘でした。
北山という場所にあったので北山殿と呼ばれていました。義満が現役将軍時代に室町という場所に建てた将軍家の邸宅は「室町殿」と呼ばれ「室町幕府」の名称もこれが由来です

ピカピカの黄金に輝く金閣を自分の死後にはお寺としてほしいという義満の願い通り、義満の死後にお寺になりました。

金閣寺は相国寺の塔頭(寺院の敷地内にある子院のこと)です。正式には「臨済宗相国寺派北山鹿苑寺金閣(りんざいしゅうしょうこくじはきたやまろくおんじきんかく)」といいます。金閣寺の役割は舎利殿(お釈迦様の遺骨などを納めるための建物)です。「鹿苑寺」の名称は義満の法名・鹿苑院殿からきています。金閣寺はそのまばゆい建物に目を奪われがちですが、池泉庭園と龍門瀑の石組もとても良いのでまた紹介します。

足利義満は足利将軍の中でも特に功績がある人物で、脆弱だった室町幕府を盤石なものにしました。
足利義満は公家と積極的な付き合いをし、朝廷の儀式もこなすことで官位をあげ、権力を強大化させ絶大な影響力を持つようになります

幕府の軍事力も強化し台頭してくる守護たちの反乱を抑えます。中央政権が確立し、権力を強大化させていく幕府と北朝にあらがえなくなった南朝の亀山天皇から三種の神器を取り戻し、南北朝の統一を果たしました。
さらには日明貿易を開始し、室町幕府の財政を豊かなものにしました。

※南北朝とは 足利尊氏と後醍醐天皇との対立から始まった、北朝(京都・光明天皇)と南朝(吉野・後醍醐天皇)の天皇家の分裂抗争

こうしてみるとものすごい功績ですね。残念ながら室町幕府はこれ以後は衰えていきますが、この後にも足利義教や義政、義輝、そして最後の将軍義昭まで面白く、興味深い将軍がいるのでまたいずれ歴史のこばなしで書きたいと思います。

ikeda

ikeda

日本庭園(特に古庭園)と歴史が好き。歴史のアレコレを調べるのと庭巡りがライフワークの管理人が発信するブログです。

関連記事

TOP