とても珍しい二段面の池泉庭園・武家屋敷跡 野村家

金沢市、長町武家屋敷跡は土塀や石畳の小路が残った豪壮な武家屋敷が立ち並ぶエリア。伝統環境保存区域および景観地区に指定されています。野村家の屋敷では珍しい日本庭園が鑑賞できます。
野村家は前田利家が金沢城に入城した時に直臣として仕えていた野村信貞から十一代に渡って続いた家柄。武家制度の終わりにより、主人が何人か変わります。江戸時代後期に加賀大聖寺藩の久保彦兵衛が上段の間を移築するなど改修し、現在の姿になりました。

◆庭園レポート
こんな構成の庭園を見たことがなかったので驚きました。まず庭園の面積に対して水の量が多い、池泉が大きい!二段の面とそれを繋ぐのは落水。↓写真ではわかりくいですが左手前が上の段で中央の水面が下の段。

濡れ縁のすぐ下に水がせまる曲水。サアァっという水が落ちる音。縁側に腰かけて水に魅せられます。訪れた時は真冬でしかも大雪の後だったのでうっすらと雪化粧も。とても寒い日だったので凍てつくような空気でしたがそれもまた庭園を凛々しく見せてくれます。夏はキラキラととても麗しいであろうことが想像できますね。夏の姿も見てみたいなあ。※画像は公式サイトより↓


作庭者は不明。水は大野庄用水から引き入れているそうです。水の透明度も高くて美しかったです。
池落水で繋いだ立体的な庭園といえば瑠璃光院の「臥龍の庭」もダイナミックで立体的で素敵でしたが、こちらの野村家の庭園は池の面がしっかりあるのがなかなか見ることのない構図なので本当に面白かったです。


◆開館時間
8:30~17:30(4月~9月)
8:30~16:30(10月~3月)
休館日 12/26、12/27、1/1、1/2

◆料金
550円

◆所要時間
30分程

◆アクセス


◆歴史のこばなし
武家屋敷跡は主君の屋敷や城の付近につくられた武家の屋敷なので、お城がある場所には武家屋敷群が残っていることが多いです。武家屋敷のはじまりは武家が台頭してきた鎌倉時代。貴族の邸宅の寝殿造りをベースに簡素化したもので「武家造り」とも呼ばれていましたが、今は「書院造り」として認識されています。

書院造についてはこちらの歴史のこばなしでも書いていますが、室町時代に武家とともに発展した住宅様式です。

ところで、書院造の「書院」ってなんなんだ?と。書院とは「書斎を兼ねた居間の呼称」です。
「寝殿造り」が「寝殿(寝間)」を中心とした建物であったのに対して、「書院造り」は「書院(書斎)」を建物の中心としました。

書院造 慈照寺東求堂同仁斎 画像出典:新説日本史

書院造りの大きな特徴は押し板(床)・棚(違い棚)・付け書院という定型化された座敷飾があることです。

ちなみに「床の間」と呼ばれる、和風建築に欠かせないあの空間も書院造の発展期に登場します。「床の間」は安土桃山時代の茶道の流行とともに茶室(数寄屋)が発展し、空間意匠として大事にされはじめます。

画像出典元 ホームプロ

数寄屋はのちに数寄屋建築として、茶室以外の一般の住宅にも数寄屋の要素を取り込んだ住宅様式として確立しています。
数寄屋造りの特徴は、茶室に影響を受けていることから「わびさび」を根底に、簡素でありながらも風流で繊細、質素でありながら洗練されているのが特徴です。また庭で四季を感じたり、借景を取り込むことも特徴です。

建築の移り変わりと歴史背景って密接で面白いですよね。