回遊式庭園と方丈の枯山水、文化財指定の茶室もある高台寺

禅の庭

高台寺は京都市東山区にある臨済宗建仁寺派の寺院。豊臣秀吉の正室である北政所が秀吉の冥福を祈るため建立した寺院であり、寺号は北政所の落飾後の院号である高台院にちなんでいます。禅宗寺院であるとともに、秀吉と北政所を祀る霊廟としての性格を持った寺院です。

庭園レポート

回遊式池泉庭園と方丈前の大きなしだれ桜を有する枯山水庭園が有名な高台寺のお庭。入ってまず目に飛び込んでくるのが茅葺屋根の田舎屋風の茶室“遺芳庵”。江戸時代の京都の豪商・灰屋紹益ゆかりと伝わる茶室です。大きな丸窓が特徴的。

そして境内の中央は東山を奥に見て手前が“偃月池”、奥が“臥龍池”と2つの池からなる池泉回遊式庭園が広がります。緩くやさしいラインが美しい築山と鶴島、右手側には亀島が配置された蓬莱様式の庭園です。高台寺の庭園は小堀遠州の作と伝わっていますが確証はありません。

再建された方丈に入ると、方丈の前には枯山水庭園がひろがります。作庭は北安夫さんによるものです。右手側には大きなしだれ桜、左には三尊石の石組みがあります。枯山水のデザインはライトアップのイベント時に変更されることもあるのでいつもとは違った姿が見れることも。


方丈をでてさらに園路を進むと階段があります。わりとアップダウンの激しい庭園なのでちょっとした運動になります。階段を上ると伏見城から移築されたと伝わる二つの茶室。傘亭は千利休の作庭とも伝わっています。時雨亭はとっても珍しい二階建ての構造の茶室。ちなみに古田織部を主人公にした漫画「へうげもの」ではどちらも古田織部が作ったものとして作中に登場しています。いずれにしろ桃山時代の茶人が作った、というテーマで見てみると面白いですよね。


四条から徒歩でいけて清水寺も近いので観光客がいつも多い高台寺ですが、園内は広いのでゆったりと散策できます。桜の時期と紅葉の時期は激混みなので私は訪れたことはありませんが、夏は木々が青々と美しく冬は枯淡の美がありどの季節でも見ごたえたっぷりです。ハイシーズンを避けて静けさと季節の表情を楽しむか。春と秋のハイシーズンに挑戦して賑々しい中、麗しい装いのお庭を楽しむのも一興かとどちらにしろ、いつ行ったって素晴らしいお庭です。


◆拝観
拝観時間:9:00〜17:30 (17:00受付終了)

◆拝観料
600円

◆拝観所要時間
1時間ほど

◆アクセス
京都市東山区高台寺下河原町526番地


歴史コラム

小堀遠州の作庭と伝わっているが確証はない…と紹介文の中で書いたのですがそれには小堀遠州が担っていた「郡代」という職務として公儀が関わっています。詳しくはこちらの小堀遠州について詳しく書いているコラムをお読みいただければうれしいです!

ikeda

ikeda

日本庭園(主に古庭園)と歴史が好きな管理人が日本庭園の紹介と歴史コラムをと書いています。京都芸術大学大学院環境デザイン領域日本庭園分野を修了。書いた論文を当サイト内でも公開しています。

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