“利休好み”の絵画の中に迷い込んだかのような庭園 智積院

仏教の庭

智積院(ちしゃくいん)は真言宗智山派の総本山です。「利休好みの庭」と伝えられる名勝庭園があります。第七世運敞(うんしょう)僧正が修復し、東山随一の庭と言われるようになったそうです。

◆庭園レポート
かなり高低差のある築山にはダイナミックに石と植え込みが交互に組まれています。大書院が池に張り出した斬新な構造になっていて、あんまり前のめりになるとそのままドボンと池に落ちてしまいそう。でも張りだしているおかげで庭の中に降り立ったかのような目線になれます。築山や石の配置により、とても遠近感も感じます。

満々と水をたたえた緑の池と周囲の緑のグラデーションが相まって絵画の中に入り込んだかのような、そんな気分を味わえる庭園です。
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智積院の裏庭には枯山水の庭園もあり、美しい砂紋を心ゆくまで愛でることができます。
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◆拝観
無休 9:00~16:30

◆拝観料
500円

◆所要時間
15分ほど

◆アクセス
京都市東山区東大路七条下ル東瓦町964 地図
京都駅から市バス100・206・208系統「東山七条」下車 徒歩3分


◆歴史のこばなし
「利休好みの庭」というのは、利休の作庭に入っている要素が踏襲された庭園という意味です。古田織部にしろ、小堀遠州にしろ茶人は作庭をてがけることも多いのですが、千利休がてがけた庭園というのもいくつか残っています。

有名なものは大徳寺の黄梅院「直中庭」。これは豊臣秀吉が織田信長を弔うために建てた塔頭・黄梅院の庭園で千利休の作庭と伝わっています。

そして狩野永徳と千利休の夢のコラボレーションの庭も、同じく大徳寺の聚光院(じゅこういん)にある「百積庭(ひゃくせきてい)」。狩野永徳がラフ図を描いてそれを利休が作庭したという…なにその夢のコラボ!って感じの庭園なんです。

ikeda

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日本庭園(主に古庭園)と歴史が好きな管理人が日本庭園の紹介と歴史コラムをと書いています。京都芸術大学大学院環境デザイン領域日本庭園分野を修了。書いた論文を当サイト内でも公開しています。

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