二上山を借景とした當麻寺奥院の庭園

當麻寺は奈良の二上山のふもとに位置する古寺名刹で、中将姫の當麻曼荼羅や天平時代の両塔・日本最古の梵鐘や石灯籠などで有名です。
當麻寺の塔頭である奥院は浄土宗総本山知恩院の「奥之院」として創建されました。浄土宗の大和本山として多くの人の信仰を集め、今日まで継承されてきた名刹です。

◆庭園レポート
二上山に沈む夕日が見てみたい!と思い立ち、當麻寺へ。當麻寺奥院には浄土庭園があります。

現世を表現している渓流を右手に緩やかな坂を登りきると二上山を借景にした庭園があらわれます。阿弥陀如来像を中心に多くの石仏が並び、阿彌陀仏の御姿を映す極楽池「宝池」があり、二上山のを背に自然をふんだんに取り入れてあります。

ちょうど日暮れ前で太陽が傾きはじめ、山の凛とした空気に包まれていて清廉な雰囲気でした。

奥院には霊宝殿もあり、浄土宗の大和本山でもある奥之院の宝物館は曼荼羅の複製品と阿弥陀来迎の二十五菩薩がすごく素敵でした。
あと弥勒菩薩の厨子もかなり良くて何度も何度も角度を変えて眺めました。こんなに心ゆくまで仏像を眺められるとは、穴場すぎるので仏像好きの方にもオススメです!

その後は二上山に沈む夕日をみて、ほんとに山の向こうがピカピカに光っていてこれが親鸞も見た西方浄土か!と胸熱くなりました。
futakami


◆拝観
年中無休 9:00~17:00

◆拝観料
大人500円(庭園・霊宝殿)

◆所要時間
30分ほど(霊宝殿も含む)

◆アクセス
奈良県葛城市當麻1263 地図
近鉄・南大阪線「当麻寺」駅から徒歩約15分


◆歴史のこばなし
鎌倉時代は「鎌倉新仏教」と呼ばれる浄土思想の普及や禅宗の伝来の影響がありました。

「鎌倉新仏教」の立役者は法然(浄土宗)、法然の弟子である親鸞(浄土真宗)、日蓮(法華宗)、一遍(時宗)、栄西(臨済宗)、道元(曹洞宗)などです。

それまでの日本の仏教は鎮護国家(仏教を用いて国の安定を図ろうとしたもの)で最澄が開いた比叡山の天台宗は当時の最高学府でもありました。人々の救済のためという意味合いは少なく国家や貴族のための祈願が主でした。

法然や親鸞、日蓮も比叡山で修行したのち山を下りて独自の宗派を開いていきます。親鸞は比叡山在籍時から法然の庵に通い、ついには弟子入りもしています。

鎌倉仏教の特色は、在世に苦しむ人々を救済するために独自の手法で仏の教えを伝えようとしたもので、戦乱により台頭してきた武士、戦や飢餓に苦しむ庶民の間で瞬く間に広がりました。

禅宗である臨済宗・曹洞宗は鎌倉幕府に保護されましたが、法然や親鸞は既存の仏教団体から弾圧され後鳥羽上皇の命令により島流しに処されます。それでも細々とながら活動を続け、浄土真宗は安土桃山時代にはあの織田信長でさえ手こずった巨大宗派へと変貌していきます。

上の庭園レポートで出てきた「西方浄土」とは阿弥陀如来を教主とする西方の浄土のことです。人間界から西方に十万億の仏土を隔てた所にあるといいます。
古来より二上山が西方浄土の結界の山とされ、二上山は人々にとって特別な山でした。五木寛之先生の小説「親鸞」でも親鸞が二上山に落ちる夕日をみて「なんというきれいな夕日だろう」といい、浄土を感じる描写があるのです。古来の人々が浄土に思いを馳せて、胸震わせた二上山の夕日はとても見る価値のあるものです。